ひととなり(Vol.5):松川町から美味しいりんごと笑顔を世界中に

 皆さん、松川町がロケ地となった映画「実りゆく」はもうご覧になられましたか?

 映画「実りゆく」は松川町と東京を舞台に繰り広げられる、“りんご”と“笑い”の青春映画です。

 そして、この映画「実りゆく」のモデルとなった方こそが、松川町在住のお笑い芸人、松尾アトム前派出所こと松尾寿司(まつお としじ)さん(42)です。

 今回のひととなりは、映画の公開もあり注目を集めている松尾さんにお話を伺ってきました。いつもと違ったインタビュー形式で、笑いをちりばめながらお伝えします。松尾アトム前派出所ファンの方は必見です。

松尾 寿司(まつお としじ)さん

 松尾 寿司さんは、ご実家のりんご農家を継ぎ、日々美味しいりんごをつくることに情熱を燃やしながら、芸能事務所タイタンに所属して東京でお笑いの仕事もされていらっしゃいます。

 松川に暮らしながら夢を叶え、美味しいりんごと笑顔を日本中、世界中に届けていらっしゃる松尾さん。

 苦労を重ねながらあきらめずにつかんだ夢。ライブやテレビの中の楽しい姿の裏に隠された松尾さんのお話を笑いを交えながら、お伝えしていきます。

数々の苦難を乗り越えてきた人生があった

松尾アトム前派出所こと、松尾寿司さん。

笑いの要素も詰め込んで、インタビューに答えてくださいました。

Q1:現在、どんなことをされていらっしゃいますか。

【松尾】

  普段、りんご農家をやって、たまにお笑いやって、暇なときに録画した半沢直樹のドラマを見ています。

 半農、半芸、半沢直樹です。

Q2:お笑いのお仕事をしようと思ったのはなぜですか?

【松尾】

  芸能界を本格的に目指したのは22歳になってからですが、それまでにいろいろなことがありました。大学受験に失敗し、専門学校へ行ったが学校がつぶれてしまった。その後、劇団に入ったがクビになり、それからお笑い芸人になると決心し、芸人を目指した。

 芸人として西口プロレスに所属してリングアナ(リングアナウンサー)を担当したが、活舌が悪く向いていなかったため西口プロレスを辞め、2年程フリーで活動をしていた。フリーの期間中は、地元で農作業をしながら、東京のお笑いライブで活動していました。

 2014年に今の事務所のタイタンからドラフト1位(自称)で指名があり、今の仕事をやらせていただいています。月1回ある事務所のライブにも参加していますので、東京のライブも見に来ていただけると嬉しいです。

新ネタは歴史上のあの人物!?

Q3:お笑いの仕事を続けていて嬉しいかったことは何ですか。

【松尾】

 一番は、尊敬する事務所の大先輩の爆笑問題さんに会えたことです。

  それと、地元で「YouTube見たよ」とか、「りんご長者の旅、面白かったよ」(※1)といった温かい声を地元の皆さんからかけてもらえることです。

※1 伊那ケーブルテレビにて放送されている番組(2020年11月現在)

Q4:現在、新たに取り組んでいることはありますか。

【松尾】

 今、日の本一の兵、真田幸村に興味があって本を読んだりして研究しています。基本的に活字中毒(読書好き)なので、読書してます。プロ野球チップスの阪神タイガース・近本選手(2019年盗塁王)のカードをしおりにしているので早く読めるような気がします。

父から息子へ継がれるお笑いのDNA

城山公園から思い出の地を眺める。

思いは遠く、少年時代にさかのぼる。

Q5:松川町の好きな場所はありますか。

【松尾】

 松川町の東側と西側、北側、南側ですね。(松尾:全部じゃねえか!)

Q6:町内で思い出の地などなりますか。

【松尾】

 松川中学校の校庭には思い出があります。

 小学4年生の時に参加した町民運動会で、父親が変な三三七拍子を考えて、それを一緒にやらされました。

 父親は60歳を過ぎてからハーレーダビッドソンを乗りこなす、ファンキーな父ちゃんなんだけど、若い頃の写真を見たら、宴会でWAHAHA本舗の芸人みたいなことしていました。

 なんで、元々変な(お笑いの)DNAがあるんです。

Q7:町外に出て気づいた松川町の誇れるところは何ですか。

【松尾】

 若手農業者の会「若武者」があるのはありがたかったです。若武者から派生して松川の実力派のりんご農家の先輩たちに会えて、いろいろと教えてもらえたからです。

若者へ向けてのメッセージ

愛情をかけ育てたりんごは、赤く、美味しく実りました。

 町内、町外を離れて暮らす若者に向けてメッセージをお願いします。

【松尾】

 「やられたらやり返す。倍返しだ!」ではなく、「やられたら我慢する」それが社会だと思います。

ちょっとここで coffe break ☕ 映画「実りゆく」は、リアル松川ムービー

 映画「実りゆく」のモデルである松尾さんに、映画の見どころをお聞きしました。

映画のワンシーンをご本人が演じてくださいました。

【松尾さん】

 映画「実りゆく」は、松川町の素材をふんだんに使った、リアル松川ムービーです。

 実際に松川町のりんご農家の方々が使っている言葉が使われているだけでなく、商店街や七椙神社といった、松川町の世界観が映画に投影されています。

 是非、町の全員の方に観ていただきたいです。

おわりに

 いかがでしたでしょうか。りんご農家として、またお笑い芸人として松川町と東京で活躍されている松尾さんの姿に、都市と農村の2拠点での暮らしも選択肢の一つであると気づかされました。

 そしてなにより、りんご農家の仕事もお笑いの仕事も真摯に向き合い、一切手を抜かない姿に感銘を受けました。インタビューをしていて、地元松川町から美味しいりんごと笑顔を世界中に届けていらっしゃる松尾さんのような人なりたいと思いましたが、皆さんはいかがでしたでしょうか。

 松尾さんの益々のご活躍をお祈り申し上げます。

更新日:2020年11月13日