国土利用計画（松川町計画）1.町土の利用に関する基本構想その1

（1）町土利用の基本理念
（2）町土利用の概況
（3）町土利用の基本方向

（1）町土利用の基本理念

 町土は、現在及び将来における町民のための限られた資源であり、町民の生活及び社会経済活動の共通の基盤となっています。したがって、町土利用は第4次松川町総合計画の『人の和のある地域協働のまち まつかわ』のまちづくりの将来像のもと、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、本町の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配慮して、町民の理解と協力のもと、健康で文化的な生活環境の確保と町土の均衡ある発展を図ることを基本理念とします。

（2）町土利用の概況

1.町土の特性

 本町は長野県の最南端である下伊那郡の最北に位置し、伊那谷のほぼ中央部にあたり、東西に約21キロメートル、南北に6キロメートル、面積72.90平方キロメートルの東西に細長い地域です。
中央部には北から南へ天竜川が流れ、天竜川を挟んで西は大島・上片桐地区で、伊那谷特有の段丘と山麓の扇状地が広がっています。標高750メートル以上の部分は急峻な山岳地帯となっています。一方、東の生田地区は、伊那山脈から西に続く縦谷地形と蔓畝地形による山地が大部分を占めています。天竜川沿岸と部奈段丘を除いては、いずれも急傾斜地帯で、標高約1,000メートルまで人家が見られます。

2.現状と課題

 町土は、自然的利用されている森林を主体とした山間地、里山や農用地などの中間地、都市的利用がされている平坦地に大別され、自然的土地利用が約80％となっています。
 農用地は、食料の供給、多面的機能の発揮など土地利用の重要な役割を担っています。しかし近年、農業従事者の高齢化や後継者不足、鳥獣被害などにより、遊休農地が増加し農用地の維持が困難な状況になっており、保全と活用方策が課題となっています。そのため、労力の軽減を図るために農道や用水路整備に努めるとともに、安全・安心な農産物の生産を推進し、地域の特色を活かした魅力ある農地利用を図る必要があります。
 森林は町土の約65％を占めていますが、木材価格の低迷などで育成意欲が失われ荒廃森林が増加してきています。しかし、大気の浄化や水資源のかん養、災害の防止や生態系の保全など多くの公共的な機能を有していることから保全を図る必要があります。
 天竜川・片桐松川・小渋川などの一級河川をはじめ中小河川、片桐ダム・小渋ダムなどの他ため池などがあり、特に片桐松川は親水護岸を擁した、地域密着型の親しみのある河川として整備が進んでいます。今後、関係機関と連携を図りながら、治水対策の促進とともに、公共用水域の機能維持と自然の生態系に配慮した整備や水辺空間の有効利用を考えた、環境整備に努める必要があります。
 道路延長は、国・県・町道あわせて417キロメートルとなっています。南北方向に松川インターチェンジを擁した中央自動車道、国道153号線を中心に県道6路線・町道861路線などからなっています。町の経済活動の根幹となす社会資本であることから、市街地街路、幹線道路などは、整備計画を策定し整備を推進する必要があります。また、地域との協働・連携により潤いやゆとりのある道路環境整備を進めていく必要があります。
 宅地は全体の約4.9％で住宅地が約3.2％、工業用地が約0.6％となっています。
 ふるさと農道（通称）の完成による広域的なネットワークの整備や農業後継者の減少、農業従事者の高齢化などにより、農地などが住宅化されてきていて、宅地面積は増加傾向です。既存の住宅地については、良好な住環境の整備と保全に努めるとともに、遊休農地、荒廃地を視野に入れながら、農業振興地域整備計画に基づいた優良農地の保全、森林整備計画に基づいた森林の保全など均衡のとれた宅地整備が必要です。
 昭和32年に工場誘致条例を制定し、名子原工業団地、松川インター工業団地（上片桐）、生田工業団地の分譲を行い、企業立地を進めてきました。また、他の中小企業は分散して立地しているため住工混在となっています。働く場の確保、若者定住、地域経済活性化のため、新たな工業用地を確保して企業誘致を推進していく必要があります。
 文教施設、公園緑地、福祉施設、環境衛生施設など公共用施設用地についは、現況施設の維持管理に努めるとともに、町民の利便性の向上と施設の有効性を図るため計画的な確保が必要です。今後、県営住宅の跡地利用について、有効活用を研究する必要があります。
 都市公園として、台城公園、松川児童公園、富士森公園があり、また各地域にもスポーツ・レクリエーションの場として公園・緑地などがあります。今後、自然環境を生かし、地域協働により地域に密着した「むらやま公園整備」を進めていく必要があります。また、他の公園・緑地など含めて活用方策や管理体制の研究を進める必要があります。