○松川町議会基本条例

平成23年12月16日

条例第18号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 議会と行政の関係(第7条―第9条)

第3章 議会の監視機能の強化(第10条―第12条)

第4章 議会の政策の立案及び提言(第13条・第14条)

第5章 議会の運営と活動(第15条―第18条)

第6章 町民と議会の関係(第19条・第20条)

第7章 議会改革(第21条・第22条)

第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第23条―第25条)

第9章 議会事務局(第26条)

附則

前文

地方分権の時代にあって、住民が地方公共団体の長及び議会の議員を直接選挙するという二元代表制の下、地方議会の果たすべき役割及び責務の重要性はますます増大している。

本町議会は、政策に関する条例の制定、調査権及び検査権の行使、意見書及び決議による政策の提言等その持てる権能を活用し、日本国憲法に定める真の地方自治の実現に向け、自らの創意と工夫によって町民との協調の下、まちづくりを推進していく必要がある。今後も、町長その他の執行機関とは緊張ある関係を保ち、執行機関の事務の執行に対する監視機能を発揮し、政策の立案及び提言に積極的に取り組むとともに、合議制の機関として適切な運営を行うこと及び町民の意見を町政に反映させることにより、地方分権の時代にふさわしい議会のあり方を探求していくものである。また、議会の公正性・透明性を確保することにより、町民に開かれた議会、町民参加を推進する議会を目指して、たゆみない議会改革を推進するという決意の下、議会の基本理念及び基本方針、議員の責務、議員の活動、議会と町長その他の執行機関の関係、町民と議会の関係等を明らかにし、将来にわたって町民の負託にこたえていくため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、松川町議会(以下「議会」という。)の基本理念及び基本方針、松川町議会議員(以下「議員」という。)の責務、議員の活動、その他の議会に関する基本的な事項について定めることにより、議会が町民の負託に的確にこたえ、もって町民の福祉の向上と活力に満ちた地域づくりによる町勢の発展に寄与し“人の和のある地域協働のまちまつかわ”を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 議会は、町の意思決定を担う議決機関としての責任を自覚し、その権能を最大限に活用して地方分権の時代にふさわしい役割を担い、真の地方自治の実現を目指すものとする。

(基本方針)

第3条 議会は、前条に定める基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づき議会活動を行うものとする。

(1) 二元代表制の下、町長と対等な位地で議会活動を行い、住民のための円滑な町政運営に寄与すること。

(2) 町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)の事務の執行に対する監視機能の強化を図り、これを発揮すること。

(3) 政策の立案及び提言に関する能力の向上を図り、これらに積極的に取り組むこと。

(4) 議員相互間の討議を活用する等、合議制の機関として適切な運営を行うこと。

(5) 議会からの積極的な発信と共に行政からの正確な情報提供を促すことにより、町民の意見を的確に把握し、町政に反映させること。

(議員の責務)

第4条 議員は、町民の代表として、町民及び町全体の利益を考え、町民の負託にこたえる責務を有する。

(議員の活動)

第5条 議員は、前条の責務を果たすため次の活動を行うものとする。

(1) 議員は、自己の能力(資質)を高める不断の研さんによって、町民全体の奉仕者、代表としてふさわしい活動をすること。

(2) 町政の課題全般について、町民の意見を的確に把握するとともに、議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとらわれず、町民全体の福祉の向上を目指して活動をすること。

(3) 議員は、議会報告会や議会だよりなど情報提供ツールを駆使して町民への説明責任を果たす活動をすること。

(4) 議員は、十分な討議と精査のうえ政策立案を行い、情報提供と執行機関への政策実行を促すことによって町民に利益を還元する活動をすること。

(最高規範性)

第6条 この条例は、議会における最高規範であって、議会は、この条例の趣旨に反する議会の条例、規則等を制定してはならない。

2 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例の研修を行わなければならない。

3 この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。

第2章 議会と行政の関係

(議会及び議員と町長等の関係)

第7条 議会審議における議員と町長等との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。

(1) 本会議における議員と町長等の質疑応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行うものとする。

(2) 議長から本会議及び常任委員会、議会運営委員会、特別委員会(以下「委員会」という。)への出席を要請された町長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して反問することができる。

(3) 議会は、町長等との立場及び権能の違いを踏まえ、議会活動を行わなければならない。

(4) 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長を経由して町長等に対し文書質問を行うことができる。この場合において、町長等に文書により回答を求めるものとする。

(議会審議における論点情報の形成)

第8条 議会は、町長が提案する重要な政策について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、町長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1) 政策の発生源

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 町民参加の実施の有無とその内容

(5) 総合計画との整合性

(6) 財源措置

(7) 将来にわたるコスト計算

(8) その他議会が必要と判断する情報

(予算及び決算における政策説明)

第9条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明を町長に求めるものとする。

第3章 議会の監視機能の強化

(監視及び評価)

第10条 議会は、町長等と常に緊張ある関係を保持しながら、町長等の事務の執行が、適正に、かつ、公平性及び効率性をもって行われているかどうかを監視するものとする。

2 議会は、議案の審議等を通じて、町長等の事務の執行の効果及び成果について、評価するものとする。

(町政に関する検査等の権限等)

第11条 議会は、町長等の事務の執行に対する監視機能を最大限に発揮するため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第98条第1項の規定による町の事務に関する検査の権限その他の法に定める権限を的確に行使するものとする。

(議会の決議等の尊重等)

第12条 町長等は、その事務の執行に当たっては、当該執行に係る議会の決議等の趣旨を尊重するよう努めるものとする。

第4章 議会の政策の立案及び提言

(政策の立案及び提言)

第13条 議会は、町の政策水準の向上を図るため、政策立案機能の強化に努め、もって政策に関する条例の制定、条例の提案、議案の修正等、政策の立案及び提言を積極的に行うものとする。

(研修、調査研究等)

第14条 議会は、政策の立案及び提言に関する能力の向上を図るため、次に掲げる事項を行うよう努めるものとする。

(1) 議員が研修及び調査研究を行う機会の確保

(2) 図書室等の充実強化

(3) 市町村議会との交流及び連携の推進

第5章 議会の運営と活動

(議会の運営と活動)

第15条 議会は、厳正かつ公正で町民に開かれた運営を行わなければならない。

2 議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由で闊達な討議を行うものとする。

3 委員会及び議会全員協議会等は、議員相互間の討議を活用し、その機能を十分に発揮するよう努めなければならない。

4 議会は、次に掲げる事項に基づき活動を行うものとする。

(1) 公正性及び透明性、独自性等を確保し、町民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 町民の多様な意見を把握し、政策形成に適切に反映できるよう、町民参加の機会の拡充に努めること。

5 委員会は、次に掲げる事項に基づき活動を行うものとする。

(1) 審査に当たっては、資料等を積極的に公開しながら、町民に対し分かりやすい議論を行うよう努めること。

(2) 委員長は委員会の秩序保持に努め、委員長報告を自ら作成するとともに、質疑に対する答弁を責任をもって行うこと。

(3) 常任委員会は、議会における政策立案及び政策提案を積極的に行うこと。

6 議会運営及び議員活動に関する細則は、別に定める。

(自由討議の保障と合意形成)

第16条 議会は、議員相互間の自由な討議が保障された運営がなされなければならない。

2 議会は、本会議及び委員会において、議員、委員会及び町長提出議案並びに町民提案に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の議論を尽くして合意形成に努めるものとする。

(政策討論会)

第17条 議会は、町政に関する重要な政策及び課題に対して、共通認識及び合意形成を図り、もって政策立案及び政策提言を推進するため、政策討論会を開催するものとする。

2 政策討論会に関することは、別に定める。

(議会報告会)

第18条 議会は、町政の諸課題に誠実に対処するため、町政全般にわたって、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を行うものとする。

2 議会報告会に関することは、別に定める。

第6章 町民と議会の関係

(情報の発信と意見の把握)

第19条 議会は、町民に対し積極的にその有する情報を発信し、情報の共有を推進するとともに、説明責任を十分果たさなければならない。

2 議会は、本会議のほか、秘密会を除くすべての会議を原則公開とする。

3 議会は、法第100条の2に規定する学識経験者等による専門的調査の活用並びに法第109条第5項に規定する公聴会制度及び同条第6項に規定する参考人制度を活用して町民等の意見等を聴き、議会の政策形成に反映させるよう努めるものとする。

4 議会は、町民の多様な意見を把握し、反映しうる合議体としての特色を最大限に活かし、町民参加の推進のため、町民との意見交換の場を多様に設けるものとする。

5 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、政策決定をしたときは、町民に対して説明する責務を有する。

6 議会は、請願、陳情等を、政策に関する提案ととらえ、誠実に処理するとともに、提出者が希望した場合には、参考人として意見を直接求めることとする。

(広報及び広聴の充実)

第20条 議会は、情報技術の発達を踏まえ、議会だより・ケーブルTV等多様な広報手段を活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持てるよう広報の充実に努めるものとする。

2 議会は、住民の意見を聴くため、公聴会等の開催により広聴の機会の充実に努めるものとする。

第7章 議会改革

(議会改革の推進)

第21条 議会は、地方分権の時代にふさわしい役割を担うため、議会の在り方についての調査研究等を行う等、継続的に議会改革に取り組むものとする。

2 議会は、常に町民の意見、社会情勢の変化等を勘案して、議会運営に係る不断の評価と改善を行うものとする。

(議会改革推進会議)

第22条 議会は、議会改革に取り組むため、議会の運営に関し協議又は調整を行うための場として、議会改革推進会議を設けるものとする。

2 議会改革推進会議に関することは、別に定める。

第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第23条 議員は、町民全体の代表として町政に携わる権能と責務を有することを深く認識し、公正、誠実及び清廉を基本として常に品位を保持するよう努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、議員倫理に関することは、別に定める。

(議員定数)

第24条 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するものとする。

2 議員定数の基準は、人口、面積、財政力及び町の事業課題並びに類似町等の議員定数と比較検討し、決定するものとする。

3 議員定数の条例改正議案は、町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、議員定数の基準等の明確な改正理由を付して、法第109条第7項又は法第112条第1項の規定に基づき、常任委員会又は議員から提出するものとする。

(議員報酬)

第25条 議員報酬の改正に当たって、議員が提案する場合は、町民の客観的な意見を参考に決定するものとする。

2 議員報酬の条例改正議案は、町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、明確な改正理由の説明を付して、法第109条第7項又は法第112条第1項の規定に基づき、常任委員会又は議員から提出するものとする。

第9章 議会事務局

(議会事務局)

第26条 議会は、政策の立案及び提言に関する能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の機能の充実強化及び体制の整備に努めるものとする。

2 議長は、議員の政策形成及び立案を補助する組織として、議会事務局の調査・法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。

3 議会は、議会の運営及び議員活動が円滑に行われるため、議会事務局の適正な人員配置を求めるものとする。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(見直し)

2 議会は、町民の意見、議会を取り巻く環境の変化等を踏まえ、必要に応じてこの条例の見直しを行うものとする。

松川町議会基本条例

平成23年12月16日 条例第18号

(平成23年12月16日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成23年12月16日 条例第18号